登山におけるスマホの防水 ~水に落とさず iPhone X を水没故障させた私の対策法~【EXPED Seal Sleeve 4】

2020年6月7日日曜日

EXPED ガジェット

t f B! P L
6 月に入り、西日本では梅雨入りした地域も出てきました。
この時期の登山で気になるのは雨対策。

私も 2 年前に iPhone 6S から X に買い替えましたが、買い替えの大きな理由の一つに X は防水機能を謳っていた(と思っていた)点がありました。
しかし、まさかの登山中に「水没扱いの故障」を経験してしまいました。
さらに言うと、水に落としていないのに水没故障です。

初代は Apple Store で 14 万ちょっとで購入し、Apple Care に入っていなかったため新品交換で 7 万ちょっと払った記憶があります。
というわけで現在の iPhone X は 2 代目となります。

スマホの防水についての知識不足で7万損したようなもんです。嗚呼…
これを機にスマホの防水規格を調べたり防水対策を実施したので、記事にしたいと思います。

登山でiPhone X が水没した

当時の天候

2018 年 6 月の秋田駒ヶ岳日帰り登山の日でした。
当日は雨風が強く、ずっとレインウェアを着ていました。
下山で阿弥陀池付近の木道を小走りしていたら突風が吹き、走りながら前のめりで頭から転倒してしまいました。
幸い怪我はありませんでしたが、近くにいた 20-30人ほどの中高年グループの数名が転倒し動けなくなっていました。
それほどに悪い天気でした。今思えば登山を強行しなければよかった…。

水に落としていないのに、徐々にスマホが壊れていった

私は紙地図と併用してスマホアプリ「山と高原地図」を愛用しています。
読図はできますが、アプリは GPS で現在位置がすぐにわかって楽なのでメインで使っており、紙地図はお守り感覚。
スマホは取り出しやすいようにレインウェアのポケットに入れていました。

浄土平(ピーク直下の平坦なエリア)に着いても天気が悪いままなので結局ピークハントは諦め、下山を始めたあたりでスマホの挙動がおかしいことに気づきました。
気圧か温度の変化のせいで、下山すれば治るだろうと思い、この時は気に留めていませんでした。

下山は無事に完了し、下山口からのバスに乗ってスマホをいじろうとするとうんともすんとも言わない…。
モバイルバッテリーで充電を試みても改善せず。
この時点で故障を確信し、修理業者にに持ち込無事を決めました。

スマホ無しで無事秋田から帰宅できてよかった…。

修理業者の判定はまさかの「水没」

帰宅後、すぐに近所のビックカメラの Apple 製品修理サービスで検査してもらったところ、なんと水没扱いの故障。
えっ、登山中はほぼレインウェアのポケットに入れていたのに…?
検査で iPhone X をパカッと開いたものを見せてもらい、びっくり。
中にはびっしりと水滴が。原因は結露でした。
担当した方曰く「SIMカード挿入口の隙間から水蒸気が入りやすいんですよね~」。
バス内で通電(モバイルバッテリーで充電)させてしまっていたため復旧は諦め、新品交換してもらうことにしました。
防水のために iPhone X を買ったのに水没故障で 7 万も払うという失態を犯してしまい、かなり落ち込みました。

水没経緯の推測

おそらく、下記のような感じではないかと思います。

①登山で体温が上がってかいた汗が蒸発し、レインウェアのポケット内の水蒸気が飽和状態に。
②ポケット内の水蒸気が SIM カード挿入口から侵入し、挙動がおかしいことに。
③下山後の急な温度変化により内部で一気に結露し、故障

レインウェアはゴアテックス製(モンベルのストームクルーザー)でしたが、ポケット内の水蒸気を排出しきれていなかったようです。
排出しきれなかった原因は、私が汗かきというのはあると思います。
また当日は雨が強かったため、レインウェア表面の撥水が落ちて透湿性能が落ちていた可能性も考えられます。

防水規格について

水没理由の考察はできたものの、防水を謳うiPhone Xが水没したということでやりきれない気持ちになり、防水規格を調べました。

防水規格の読み方

ウィキペディア等を参考にしました。
たとえば iPhone X の防水規格は IP67 ですが、IPは「International Protection」の略なので防水性能には無関係です。
一桁目が防塵の保護等級で、6 だと最上級の「粉塵が中に入らない(耐塵形)」。
二桁目が防水の保護等級で、7 だと上から 2 番目の「一時的に一定水圧の条件に水没しても内部に浸水することがない(防浸形)」。

水没故障は防水性能のせいなのか?

防水の保護等級が最上級の 8 ではないため水没してしまったのでしょうか。
個人的には、今回は水蒸気が原因なので防塵性能が問題あったのかと思いました。
が、iPhone X の防塵は最上級。
しかし日本品質保証機構によると、防塵保護等級6は「耐塵試験用粉塵(直径 75μm)が入らないように保護されている。」とのこと。
チリが完全に入らないか評価するのは難しいので、どうやら 75μm 以上の物体の侵入を防げた場合に「(実質)チリが完全に入らない」と判定しているようです。

問題の水蒸気の直系はというと、ウィキペディアによると 3μm。
気温や気圧等により多少の誤差はあると思いますが、 75μm 以下であるのは間違いなさそうです。

私の推測が正しく、今回のケースだと防水ではなく防塵が重要であるとするならば、防塵保護等級が最上級の 6 でも水蒸気の侵入により水没してしまうということになります。

ちなみに X 以外の iPhone の防塵防滴性能は、Apple 公式サイトによると下記の通り。

iPhone 7、iPhone 7 Plus、iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone X、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR、iPhone SE(第2世代)、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max、iPhone 11は防沫性能、耐水性能、防塵性能を備えており、実験室の管理された条件下でテストされています。
iPhone 11 ProとiPhone 11 Pro MaxはIEC規格60529にもとづくIP68等級に適合しています(最大水深4メートルで最大30分間)。
iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone 11はIEC規格60529にもとづくIP68等級に適合しています(最大水深2メートルで最大30分間)。
iPhone 7、iPhone 7 Plus、iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone X、iPhone XR、iPhone SE(第2世代)はIEC規格60529にもとづくIP67等級に適合しています(最大水深1メートルで最大30分間)。
防沫性能、耐水性能、防塵性能は永続的に維持されるものではなく、通常の使用によって耐性が低下する可能性があります。
iPhoneが濡れている場合は充電しないでください。
クリーニングと乾燥の方法についてはユーザガイドをご覧ください。液体による損傷は保証の対象になりません。

よく見ると「防水」ではなく「耐水」と書いてありますね。
このあたりは微妙な表現…。

私のスマホ防水対策

今回のケースにおいては重要なのが防塵なのか防水なのか分からずじまいです。
とはいえ間違いなく対策したほうが良いだろうということで、iPhone X(2代目)になってから登山時に使っているのが、こちら。

EXPED Seal Sleeve 4

好日山荘で発見し、作りが良かったので購入しました。
iPhone X に丁度良いサイズです。ワンサイズ大きいものもあります。
EXPED 公式サイトによると「耐水性能:完全防水」。
上述の例もあり文字通り完全なのかは疑わしいですが(笑)、2 重ジッパーなので防塵性能は問題ない(水蒸気の侵入は防いでくれそう)です。
裏面はこんな感じ。
表面はツルツルした分厚いビニールのような素材ですが、裏面のグレー部分は布地で作られており、破れにくそうです。
カメラ部分は表面と同じ素材になっており、スマホを取り出さなくても撮影できます。

また、なぜ下からスマホを入れる形式になっているのか今までずっと謎でしたが、この記事を書いていて気づきました。
下に空いている 2 つの穴に紐を通して首にぶら下げると、手でスマホを持った時、丁度使う向きになり使いやすいですね。
よく考えて作られていると思います。

約 2 年、登山行動中は主にズボンのポケットに入れて使っています。
破れやほつれ等はなく、まだまだ使えそうです。
ビニール素材も多少は傷がついていますがスマホ画面を見る分には問題ありません。
撮影した写真はややモヤッとしてしまいますが、記録写真と割り切れば使えると思います。

唯一の欠点としては、防水袋にしてはやや高価なこと(1500 円)。
極論すればジップロックで十分なのかもしれません。
しかし、山仲間や登山で会った見知らぬ人に「このケースいいですね!」と何度か言われたこともあります。
個人的にはとてもおすすめです!

最後に

登山における雨対策は、自身の体温管理が第一だと思います。
しかし現代社会においてはスマホも非常に重要だと思うので、何かしらの防塵・防水対策を講じたほうが良いと思います。

そして、この記事を書いていて、iPhone X と同じく防水性能に魅力を感じて購入したニコンのカメラが不安になってきました。
購入して 1 年強、今のところは問題ありませんが…。

自己紹介

自分の写真
千葉在住の会社員。 Nikon Z 6 を持って山に登っています。 登山は高校で山岳部に入ってから、写真は社会人になってから始めました。 下山後にカツ丼とざるそばを食べるのが大好き。 皆さんの役に立つような情報を発信していきたいです。

Twitter

にほんブログ村

このブログを検索

登山・ハイキング・トレッキング

雑談

ブログ アーカイブ

連絡フォーム

名前

メール *

メッセージ *

QooQ